怪物ヒグマの出現
・2019年7月16日、北海道川上郡標茶町オソツベツにある牧場で、体重400kgの牛がヒグマに殺された。以後、次々と牛が襲われる。
・襲撃は必ず夜。朝になると牛の死体だけ残してヒグマは消えていた。
・複数の現場に残されていた体毛のDNAが一致。北海道庁は、最初の被害現場オソツベツと、足跡の幅(18cm)から、ヒグマをOSO18と名付けた。
・肉に執着するのが特徴。人を徹底的に嫌い(避け)、罠にもかからず。
・被害範囲は標茶町と厚岸町の二つの町にまたがり、東京23区三つ分の広さ。
・2023年までの4年にわたり、66頭の牛を襲った。
異変
・2023年6月24日、放牧地で牛が襲われる。現場近くで(OSO18と思われる)ヒグマを見かけた人の証言によると、逃げた熊は毛艶がよくなく、弱っている印象だった。
・2023年6月25日、設置していたカメラにOSO18の姿が映る(警戒心の強いOSO18が日中にカメラに姿を捉えられたのは初めて)。
・2023年7月14日、OSO18の足跡発見。例年の行動圏を通過しているにもかかわらず、牛を襲わず。
・2023年5月から7月にかけて、OSO18の行動エリアに、6頭の大型のオスのヒグマ(それぞれ別の個体)がカメラに写っていた。→OSO18は、他の雄グマから逃れるために南に移動したか?
捕獲
・2023年7月30日、釧路町内でヒグマ(OSO18)を捕獲。逃げる様子は全くなく、気力を失ったように地面に伏せていた。当初はOSO18とは認識されず、死体は処理され、日本各地のレストランに売られた。捕獲された場所は、OSO18がこれまで現れた形跡がない場所だった。
・OSO18は、見た目としては痩せており、手のひらや指の関節が腫れていた。また、胃の中は空っぽだった。死体の処理をした業者によると、体毛が薄かったので、年をとった熊だと思った。
・保管されていた牙から、OSO18の年齢は9歳6ヶ月と判明。ヒグマは通常、20歳近くまで生きるため、年老いていたわけではない。体長2メートル10センチ、推定体重330キロ、前足幅は20cm。
骨の分析から判明したこと
・解体業者の廃棄物から見つかったOSO18の骨を分析すると、一般的なヒグマよりも、著しく肉食に傾いてた。4歳から8歳までの間、常に肉を食べていたと推測される。→果実や草本類が主食のヒグマとしては異例。
・エゾシカの放置された死体を食べたりすることで、肉食に傾いていったのではないか。
・草や果実を全く食べないことは、(本来、植物食が中心のヒグマにしては異例なので)体に異変を起こす可能性が高い。
・人間が作り出した環境(鹿の保護、牛の放牧など)が肉食の熊を生み出したか?そうだとすると、今後、第2、第3のOSO18が現れる可能性がある。
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番組の最後はドラマチックにまとめすぎかなと思ったものの、OSO18の出現から捕獲までの経緯がよくまとめられていて、わかりやすかったです。
解体業者の廃棄物からOSO18の骨を探し続けた取材班もすごい。
人間がつくりかえた環境とOSO18のような肉食熊出現の関係性については、もっと時間をかけて、より細かい分析と検証が必要だと思いました。
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